カマチグループ 東京品川病院

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診療科

臨床検査科

それぞれの専門分野において質の高い臨床検査結果を迅速に診療各科に提供しております

臨床検査科は、それぞれの専門分野において質の高い臨床検査結果を迅速に診療各科に提供しております。診断・治療に貢献することを使命として365日・24時間体制で外来入院患者さんの検査を行い、また健診センターでの人間ドックの生理検査・検体検査も受け持っています。

業務内容

1.遺伝子検査部門

新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)は我々の生活を大きく変えました。2020年1月24日東京都でSARS-COV-2感染者が初めて検出され、3月にはその数が二桁となりました。東京品川病院では、2月に保健所、4月に外注検査で確定した感染者の診療を開始し、5月に、迅速診断のため、院内にBSL-2+検査室を開設し、臨床検査科によりウイルスのPCR定性検査が開始されました。検査にあたり感染研病原体等管理規定を遵守し、呼吸器内科と密な連携を行い、的確な品質管理のもと、高感度かつ均質な検査結果の提供に勤めました。
東京都では2022年2-4月(2000-6000人/日)、7-8月(10000-40000人/日) 11-12月(10000-20000人/日)に感染拡大の大きなピークを迎え、東京品川病院では2020, 2021, 2022年度にそれぞれ6695(陽性19%), 8159(陽性23.4%)、14002(陽性24.5%)検体のPCR検査を行い、特に2022年度、7、8月には検体数が1813(陽性59.2%), 1768(陽性60.5%)と突出しました。また同時にIDNOWを用いた緊急検査が合計122817件行われました。
パンデミックに伴い数々の変異株が同定され、日本では2021年3月に感染力が従来のウイルスよりも強いとされたα株の頻度が上昇し、ついで6月にはα株より感染力と病原性が強いδ株の流行が顕著となり、さらにはWHOにより懸念される変異株に指定されたオミクロン株が2022年1月より流行しました。呼吸器内科の要望を受けて、我々は2021年4月より臨床的な危険度の監視を目的とするウイルス変異株の解析を行い、現在も解析を継続しています。
現在ゲノム検査室として新型コロナウイルス検査とともに、PCRを用いた保険診療適応がんゲノム検査の開始を準備しています。

2.微生物検査部門

細菌検査

我々は、様々な機会に病原性を示すウイルス、細菌に感染します。 微生物検査部門では臨床症状から細菌感染症が疑われる患者さんから提出された検体からの起炎菌の検出については、血液・髄液等を除いて外注委託を行なっています。 微生物検査部門では、本来無菌状態の血液中で細菌が活動する菌血症を見逃 さないための検査である血液培養検査を行います。血液培養で菌の増殖が確認された場合、生塗抹標本及びGram染色標本の顕微鏡検査所見から推定される菌の種類を主治医に報告し、初期投与抗菌薬を選択します。推定された菌名の同定のため発育に必要な培地を選択培養後、発育した菌の形態、特性を同定検査で明らかにし、薬剤感受性検査を行い最終的に治療に用いる薬剤を確定しています。

2022年度実績 一般細菌11,828件(血液培養5,081件)

迅速検査

イムノクロマト法を利用した簡易検査キットを用い、菌やウイルスを対象と した迅速抗原検査を行っています。

2022年度実績 迅速抗原検査4,465件
(インフルエンザ・RSウイルス・A群β溶結性連鎖球菌・尿中肺炎球菌・尿中レジオネラ・C.difficile毒素・ロタ/アデノウイルス・クラミジア・マイコプラズマ・hMPVなど)

チーム医療

チーム医療として感染対策チーム(Infection Control Team :ICT)と抗菌薬適正使用支援チーム(Antimicrobial Stewardship Team :AST)に参加しています。感染制御の資格を持つ医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師が週1回集まり、微生物検査室から耐性菌に感染した患者さん及び血液培養検査陽性者の情報を提供し感染動向の早期把握を行っています。また院内で適切な感染対策がなされているか院内を巡回して確認作業を行なっています(ICTラウンド)。微生物検査室が報告した薬剤感受性結果と薬剤師からの広域抗菌薬使用患者の情報をもとに、適切な抗菌薬が院内で適切に使用されているか検討し(ASTカンファレンス)、不適切な場合にはASTから抗菌薬の中止もしくは変更を提案しています。

3.血液検査部門

血液は多くの細胞とタンパク質により構成され、感染症、アレルギーあるいは医原病の外的な要因により、または血液細胞自身の内的要因により血液中の細胞(血球)の量や機能の変化や、血液凝固系または免疫系に働くタンパク質に異常が起こります。
血液検査部門では、自動血球分析装置を用いて、血液の成分である赤血球、白血球、血小板、網状赤血球数やヘモグロビン(Hb)、ヘマトクリット値、平均赤血球容積(MCV)などの多項目の検査を行ない、また出血、血栓性疾患のスクリーニングを目的として凝固因子能と線溶能の異常の有無を検査し、高品質の結果の取得に力を注いでいます。これらの検査から各疾患の急性期や回復期の病状評価や治療による臨床効果の評価を行います。さらにこの過程で、多様な原因を背景とする血液疾患、あるいは血液の異常を伴う重篤な疾患が疑われる場合に、顕微鏡下で染色された細胞の形態を観察し、その可能性の有無を検討します。この際必要に応じて血液内科医師が骨髄穿刺を実施し、採取された骨髄液について、有核細胞数・巨核球数を算定し、各種特殊染色(メイギムザ染色、ペルオキシダーゼ染色、鉄染色、エステラーゼ染色、PAS染色)を行い鏡検下で個々の細胞頻度と形態の観察を行ないます。この検査は造血機能とそれに関する疾患(白血病や骨髄腫、がんの転移など)の診断に不可欠な検査です。血液細胞の判別は熟練を必要とし、定期的に知識・技術の維持向上に努めています。

2022年度実績 血算:89,841件、凝固線溶:25,175件

4.輸血検査部門

輸血検査部門では、輸血を必要とする患者さんに安全な製剤を迅速に届けるための検査を行っています。患者さんの血液型と適合する輸血製剤を選択するためにABO血液型とRhD血液型検査や、赤血球を壊す抗体の存在を検索する不規則抗体スクリーニング検査を行います。さらに赤血球上の溶血を誘導する因子を確認する直接クームス検査や血液製剤の適合性を確認する交差適合試験を行っています。不規則抗体スクリーニング検査で陽性反応を示した場合は、原因となる抗体を特定し、適切な製剤を選択するための同定検査・因子検査の実施体制を整えており、ほとんどの症例で当日輸血が可能となっています。輸血は、患者さんの状況次第では時間的な制約がかかりますが、臨床側や血液センターと連携を取りながら検査・製剤の確保を行い、その都度最適な輸血医療の提供に尽力しています。
また当院では、厚生労働省の指針に基づき輸血療法委員会を設置し、定期的に委員会を開催しています。輸血製剤の使用状況や、適正使用などについて、医師・看護師・薬剤師・事務員とともに情報の共有と意見交換を行っています。
2022年度実績 血液型検査:6,594件、抗体スクリーニング:1,109件、交差試験:1,155件

5.一般検査部門

尿検査をはじめとして便潜血検査や胸水・腹水などの体腔液検査を実施しています。尿検査から得られる情報は多く、検出される成分から腎臓、尿管や膀胱の状態、さらには糖尿病や肝臓・胆嚢の疾患を推測することが可能であり、医師が血液検査等の結果と併せて複合的に評価し、診断をするために欠かせない検査です。尿は定性と沈渣の検査をそれぞれ自動分析機で行っています。定性検査では、尿試験紙に尿を滴下し、試験紙にしみ込んだ試薬との化学反応による色調の変化を測定して糖やタンパク、潜血の量を調べます。
沈渣検査では、赤血球や白血球などの有形成分を、フローサイトメトリー法を原理とした機器により判別・計測し異常成分の出現が疑われるものや沈渣成分が多いものなどは遠心して沈渣成分を顕微鏡で観察しています。便潜血検査は、消化管出血により便に混ざった微量の血液を検出する検査で、ヒト赤血球中に存在するヘモグロビンに対して特異的に反応する抗ヒトヘモグロビン抗体を用いる特異度の高い検査です。大腸癌のスクリーニング検査に用いられ、自覚症状がほとんどない早期の段階で発見が可能であるため健診で広く実施されています。体腔液検査は、胸水や腹水など体腔内に貯留した液体中に出現する様々な細胞を顕微鏡下で観察し、診断や治療効果の判定に非常に有用な検査です。

2022年度実績 尿検査:74,801件、便検査:33,737件

6.生化学検査部門

生化学検査部門では患者さんから採取した検体(血液、尿、脊髄液など)について、肝機能・腎機能・心機能・内分泌代謝等に関わるタンパク質、脂質、酵素、電解質などの75項目にわたる検査項目を自動分析機で測定しています。測定値を健常人集団の基準値と比較する事によって多岐に渡る疾患の病因・病態の特定及び診断、治療の評価に貢献しています。
臨床検査科では採血後60分以内に臨床側へ結果報告を行い(免疫項目は90~120分)、また、検査結果に緊急異常値(パニック値)が認められた場合には速やかに臨床医に連絡しています。このように診察時に医師が患者さんの状態をいち早く把握し、迅速な治療対応を行えるよう励んでいます。
作業にあたり最も重要な仕事の一つは検査の精度管理です。生化学部門では朝、昼、夜勤引継ぎ前の3回コントロール血清の測定を介して内部精度管理を行い、さらに日本臨床検査技師会やメーカーが主催する外部精度管理調査に参加し信頼性の高い検査の品質保証に努めています。
さらに重要事項として新たな社会情勢、技術の進歩に対応するために臨床側の要望や外注依頼件数が多い項目の院内検査の導入をおこなっています。導入に際しては部門内で試薬の検討や情報収集をおこない、正確で安全、スピーディーな検査サービスを提供できるよう努めています。また今後多項目の検査結果から有意義な情報を解読するためにAI(artificial intelligence)の活用が重要となることを認識しています。
2022年度実績 生化学:115,308件、感染症(HIV/HCV/TP/RPR/HBsAg):16,621件

7.生理機能検査部門

生理機能検査室は病院部門と健診部門での検査を担当しています。超音波認定検査士(腹部・心臓・血管・体表)・血管診療技師を取得している技師が多数所属し、当検査部の臨床検査は高度な専門家集団によって病院理念に添い患者さんの診断・治療に必要な検査情報の迅速・正確な報告を目指しています。病院部門での検査は循環器系検査・呼吸器系検査・神経機能系検査・超音波検査・聴力検査に分かれます
2022年度の病院部門は総延べ検査数26,302件、健診部門は総延べ検査数30,734件の検査を行いました。

病院部門での検査は循環器系検査呼吸器系検査神経機能系検査超音波検査耳鼻科検査に分かれます。

循環器系検査

2022年度実績(健診を含む) 26,302件
検査項目 心電図・ホルター心電図・血圧脈波検査(ABI)・経皮酸素分圧測定(tcpO2)など

心電図は心臓の活動により生じた電気的変動を波形として記録します。
心臓の病気(不整脈・心肥大・心筋梗塞・狭心症)などの診断目的、手術前や入院時(前)検査のために行います。ホルター心電図は24時間小さな機器を胸に装着して1日の心電図変化を見る検査です。血圧脈波検査(ABI)は腕と足首の血圧を同時に測定し下肢の動脈の狭窄・閉塞・硬さを調べます。経皮酸素分圧測定(tcpO2, transcutaneous oxygen pressureskin perfusion pressure)は皮膚を加温することで皮膚表面からの酸素拡散を促進し、センサー内の電極を介して酸素分圧を測定します。

呼吸器系検査

2022年度実績(健診を含む) 9,672件
検査項目 肺活量/努力性肺活量・肺拡散能・機能的残気量・薬剤負荷・呼気NOなど

呼吸器(肺、気管支、肺胞)は生命に必要な酸素を体に取り込む重要な器官で、その働きが正常に作動しているかを知るために検査を行なっています。また、全身麻酔での手術で必要な呼吸管理の判定のためにも検査を行います。
一般的な検査として肺活量(肺に入る空気の量)、努力性肺活量(吸った空気を1秒間でどれほど吐けたか)を測定し肺の換気能力を調べます。さらに精密な検査として肺拡散能(肺から血液中への酸素の取り込みむ効率)、機能的残気量(安静呼吸時での呼吸の余力)の測定を行い、呼吸機能障害の有無を検査します。また喘息の症状や気道の炎症状態を評価するために呼気中一酸化窒素(NO)の濃度の測定、喘息の診断、重症度や治療効果の判定に必要な薬剤負荷試験を行なっています。

神経機能系検査

2022年度実績 311件
検査項目 脳波・神経生理検査・脳誘発電位・終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)検査など

脳波検査は脳の微弱な自発的電気的活動を頭皮上の電極でとらえ、波形として記録し脳の働きを調べます。てんかんの診断・病型判定、けいれんや意識障害の評価、器質性脳障害(脳腫瘍・脳血管障害・頭部外傷による脳損傷など)や睡眠異常の診断に用いられます。またこのほかに終夜睡眠ポ リグラフィー(PSG)検査も行っています。
神経伝導検査では、人が活動すると筋肉が収縮し、筋肉の細胞から活動電位という弱い電気が発生します。この活動電位を記録し評価します。この検査は、手足のしびれ、運動麻痺、筋力が低下したと思われる場合に行います。手足の末梢神経障害の有無、程度、部位を判定します。脳誘発電位検査は感覚神経に電気的あるいは機械的な刺激を与え、それによって誘発される反応を記録します。末梢神経から脳幹・大脳皮質に至る長い神経路の機能を見る検査です。

超音波検査

2022年度実績(健診を含む) 18,815件
検査項目 腹部・心臓・乳腺・甲状腺・唾液腺・皮膚・頸動脈・腎動脈・下肢動脈・下肢静脈・リンパ浮腫・シャント(透析患者)など

超音波は臓器や組織の境界で反射します。この反射波を画像に転換して臓器組織の状態を解読する検査です。腹部臓器(肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、腎臓、膀胱、前立腺、子宮)や内分泌臓器(乳腺・甲状腺・唾液腺)での良性腫瘤や悪性腫瘍の有無、炎症や障害、各臓器固有に発症する異常(たとえば、胆石、腎結石)の診断が可能です。また循環器系(心臓・動脈・静脈・リンパ)の検査では心不全・心筋梗塞や心臓肥大・弁膜症や先天性疾患の有無・動脈硬化や動脈瘤・静脈血栓症・リンパ浮腫などの診断することができます。

耳鼻科検査

2022年度実績 4,389件

聴力をはじめとしてめまいや平衡機能障害の検査を行います。

検査項目 純音聴力検査・言語聴力検査・内耳機能検査・ティンパメトリー検査・耳小骨筋反射検査・補聴器適合検査・耳管機能検査など

純音聴力検査は、防音室でヘッドホンを両耳にあて、125-8,000ヘルツまでの7種類の異なる音の聴力を左右別々に検査し、聞こえる最も小さな音の大きさを調べます。難聴の場合、程度によりますが音の入る外耳道、音を伝える器官(鼓膜など)、音の振動を電気信号に変換する器官(内耳蝸牛)、及び電気信号の脳への受信に関わる聴神経、中枢神経のいずれかの障害を考えます。

2023年度より耳音響放射検査も始めました。

めまいの検査 平衡機能検査

2022年度実績 613件
検査項目 重心動揺検査・ラバー負荷検査・眼振検査・VOG・前庭誘発筋電位検査など

目眩は内耳の病気、頚部の障害、脳腫瘍や脳出血など、血液の病気、血圧の変動など多くの原因により誘引されます。検査科では内耳や視覚、知覚の異常を検討する重心動揺検査、及び内耳系、中枢神経系の異常の有無を観察する眼振という眼の特徴的な運動を検査します。

8.病理検査部門

病理専門医により、組織診断および術中迅速診断を行っています。(2022年実績4049件うち術中迅速診断43件)免疫組織化学的検索も積極的にとり入れ、臨床診療科における治療法の選択や予後予測などに重要な情報を提供しています。また3人の細胞検査士(うち1人は認定病理検査技師)で、年間約 5600件の細胞診業務を行っています。