東京品川病院 呼吸器病センター

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疾患ガイド

縦隔腫瘍

縦隔腫瘍とは、左右の肺と胸椎、胸骨に囲まれた空間である「縦隔」に発生する腫瘍の総称です。

縦隔腫瘍の原因と特徴

縦隔には心臓、大血管、気管、食道、胸腺、神経、リンパ節など多くの重要な臓器が存在しており、これらのどの組織から腫瘍が発生するかによって、非常に多種多様な腫瘍が含まれます。
代表的なものに、胸腺腫、胸腺がん、神経原性腫瘍、胚細胞腫瘍、先天性嚢胞、悪性リンパ腫などがあります。発生する年齢層も小児から高齢者まで幅広く、腫瘍の種類によって良性のものから非常に悪性度の高いものまで様々です。約半数は無症状のまま健康診断などで偶然発見され、全体の約80%は良性であると言われていますが、放置すると周囲の臓器を圧迫したり、悪性化したりするリスクがあります。

主な症状

腫瘍が小さいうちは無症状であることが多く、健康診断の胸部X線検査などで偶然発見されるケースが半数近くを占めます。しかし、腫瘍が大きくなり周囲の臓器を圧迫または浸潤するようになると、様々な症状が現れます。
気管や気管支が圧迫されると咳や息苦しさ(呼吸困難)、食道が圧迫されると飲み込みにくさ(嚥下障害)が生じます。また、神経が影響を受けると胸痛や背部痛、声のかすれ(反回神経麻痺による嗄声)が起こり、大静脈が圧迫されると顔や首、上肢のむくみ(上大静脈症候群)が見られます。胸腺腫では、重症筋無力症などを合併することがあります。

検査について

まず胸部X線検査やCT検査、MRI検査などの画像診断を行い、腫瘍の位置、大きさ、内部の性状、周囲臓器との関係を詳細に評価します。血液検査で特異的な腫瘍マーカー(AFPやhCGなど)を測定し、腫瘍の種類の推定に役立てることもあります。
画像や血液検査から悪性リンパ腫や悪性胚細胞腫瘍などが疑われる場合は、治療方針を決定するために、CTガイド下生検や胸腔鏡などを用いて組織の一部を採取し、顕微鏡で確認する病理診断を行います。

治療について

治療法は、腫瘍の種類(良性か悪性か、組織型)と進行度(ステージ)によって大きく異なります。

手術による治療

胸腺腫や神経原性腫瘍など、良性または悪性度が比較的低い固形腫瘍の場合は、外科的手術による摘出が第一選択となります。近年では、患者さんの体への負担が少ない胸腔鏡手術やロボット支援下手術が積極的に導入されています。ただし、腫瘍が大きく周囲の臓器に強く浸潤している場合には、胸骨を縦に切開する胸骨正中切開下手術や、周囲臓器の合併切除が必要になることもあります。

薬物療法・放射線療法

悪性リンパ腫や悪性胚細胞腫瘍などの場合は、手術ではなく、化学療法(抗がん剤)や放射線療法が治療の中心となります。また、悪性腫瘍が広範囲に浸潤している症例では、化学療法や放射線治療を先に行い、腫瘍を縮小させてから手術を検討する集学的治療が行われることもあります。