診療科・部門紹介 TOKYO-SHINAGAWA HOSPITAL

むくみとリンパ浮腫の外来

リンパ浮腫

リンパ浮腫

リンパ浮腫とは

体の中には、動脈と静脈のほかに「リンパ管」という管があります。このリンパの流れがうまくいかなくなるとむくみが生じることがあり、リンパ浮腫といいます。 日本では乳がんや子宮がん、前立腺がん、悪性黒色腫などのがん治療(手術、放射線治療、抗がん剤治療など)後に起こりうる「続発性リンパ浮腫」の患者さんが大多数です。治療後すぐにむくみを発症することもあれば、10年以上を経過してから発症することもあり、また、症状も患肢が重だるいぐらいのものから洋服に影響がでるほどの大きな浮腫を来すものなど、症例によって様々です。がん治療以外には外傷などでリンパ管やリンパ節の損傷が起きたときに、続発性リンパ浮腫が発症することがあります。 また、明らかなリンパ管の損傷がないにも関わらず発症する浮腫もあり、はっきりとした原因が判らないことから「原発性リンパ浮腫」と呼ばれます。

リンパ浮腫の症状

患肢全体に同じ症状がでることは少なく、部位によって様々です。重だるさや腫れぼったい感じ、皮下の静脈が透けて見えにくくなる、圧痕形成(皮膚を押すと跡がついて戻りにくい)、多毛、リンパ漏(皮膚から水分がしみ出る)、皮膚が硬くなる、患肢が変形する、発赤や熱感が持続するなどの症状がおこります。まれに、浮腫はあまり強くないにもかかわらず、患肢全体の強い発赤と腫脹、高熱を伴う蜂窩織炎が先行する症例もあります。

リンパ浮腫の進行度

国際リンパ学会の提唱する病期分類が一般的に用いられます。リンパシンチグラフィ検査が2018年秋より保険適応になり、検査結果による重症度評価も行われるようになってきています。

リンパ浮腫重症度のステージ分類

下肢リンパシンチグラフィ検査

当院ではリンパシンチグラフィ検査と超音波検査を用いて、リンパ浮腫の診断と重症度評価を行います。残存するリンパ機能によって治療に対する反応が異なるので、それぞれの症例ごとに治療目標を定めます。 リンパ浮腫の治療:「複合的理学療法」といわれる保存的治療法が、国際的に承認された代表的な治療法です。日本ではこれに日常生活指導を加えた「複合的治療」が標準とされています。また、外科治療として顕微鏡を用いた「リンパ管静脈吻合術」もあり、保存療法に追加することで症状の改善が得やすくなる症例もあります。

「複合的理学療法」
① スキンケア 皮膚の状態を整えて感染を予防します
② 用手的ドレナージ 貯まったリンパを誘導・排液するマッサージで、専門的なトレーニングを要します。
③ 圧迫療法 弾性着衣などにより排液後に貯まるリンパを最小限に保ちます。
④ 圧迫下の運動療法 圧迫した状態での運動は、筋ポンプ作用を高め、静脈やリンパの流れを促します。
「圧迫療法」

リンパ浮腫重症度のステージ分類

弾性ストッキングによる圧迫療法

「複合的治療」
上記①-④に加え、体重コントロールや日常的な動作、体位などの指導を行います。 ※ 当院では弾性ストッキングや弾性スリーブをはじめとする圧迫療法にもちいる弾性着衣の選択、着用指導を行っています。用手的リンパドレナージについてはご自宅や職場からの通いやすさを考慮した治療院(自費診療)をご案内し、セルフケアを習得できる体制としています。また、筋力低下や関節の可動域制限を伴う場合には、リハビリテーション科における運動療法を行っています。
「リンパ管静脈吻合術」
人体の正常な構造では、集まったリンパは最終的に胸管と呼ばれる管を通って、鎖骨の下で静脈内へ流入しています。リンパ浮腫ではこのルートにたどり着く前にリンパ管が働かなくなり、皮下に水分がたまってしまいます。リンパ管静脈吻合術では、患肢で細いリンパ管と静脈をつないでバイパスルートを作り、リンパの排出を促します。手術適応はリンパシンチグラフィ検査で検討します。ICG蛍光リンパ管造影検査法(下図)および超音波検査をもちいて、直径0.5㎜程度のリンパ管と静脈を探し、顕微鏡下に両者を吻合するとリンパ管から静脈内へリンパ液が流れ込むようになります。 外科手術によって、浮腫が生じる前と同じ周径まで改善したり、弾性着衣が不要になることは多くはありませんが、患肢が軽くなって動きやすくなったり、硬化しにくくなったりすることで日常生活の辛さの改善が期待できます。また、合併症として起こる蜂窩織炎の頻度が少なくなります。

リンパ浮腫重症度のステージ分類

PDF書類をご覧いただくには、Adobe Reader®が必要です。別ウィンドウマークの付いたリンクは、別ウィンドウで開きます。